四半期業績発表に改善の必要

日経は四半期業績を期初からの累計ベースで公表する。これは投資家に適切な情報提供になっているのか。

1. 累計ベースなので、当該四半期の業績が前四半期から改善しているのか落ち込んでいるのかがわからない。
2. 海外企業の業績は、当該四半期と累計の二本立てで報じられている。アメリカだけでなく、(開示に消極的と見られる)中国企業でもこの方式である。日経の報道スタイルでは、国内企業と海外企業の業績比較がやりにくい。

2/10日経・スクランブルで次の記事があった。
 2014年10月―12月期の営業利益は前年同期比で0.3%減。

当該四半期の業績を報じていれば、この事実は事前に想定されていたのだが、累計ベースへこだわるので気付かれなかった。それどころか、2/6日経では、「上場企業、今期最高益に」と企業業績は順調に拡大局面にあると伝える。

これでは日経は、都合の良いところだけを選択的に報道する新聞とみなされてもしょうがない。10-12月期では、輸出が堅調であった。営業減益の要因は内需にあると見るのが妥当であろう。2013年10-12期のGDPは、年率0.7%の増加であった。この期には駆け込み需要があったにせよ、内需は14年10-12月にいたっても低迷しているというべきであろう。


もう一点日経の報道に注文をつけると、報じる利益が企業によって営業利益、経常利益、税引き前利益、税引き後利益とバラバラなことである。国内企業との比較だけではなく海外企業との比較や一株利益の開示の方向性から純利益に統一するのが望ましい。営業利益を伝えるのは、セグメント別の営業利益の比較を容易にする狙いがあると思われるが、物指は一本にするのがわかりやすい。