6位で大騒ぎするのか

浅田選手がショート16位からフリーで10人ごぼう抜きで6位に浮上した。これを受けて国内のメディアは大騒ぎしている。「全て出せた、ラスト五輪フリー自己新142.71点6位」(2/22スポニチ)など、と。私も浅田選手の真価発揮に心から賛辞を送りたい。他方、世界の女子スケート界の進歩を見ると、そんなには喜べないという気もしてくる。

4年前のバンクーバーから浅田選手は自己新記録の得点をたたき出した。にもかかわらず、バンクーバー金メダリスト、キム・ヨナは銀メタル。フリー4位のコストナー選手と浅田選手の差はわずか0.1点差。仮に浅田選手がショートで上位に入っていても、総合で銅を取れたかどうかである。

このことは国内ファンの心情と世界の進み方に大きな違いがあることを教えてくれる。もう一度日本の女子スケートが世界の中心になるためには、世界のスケート界がどのように進歩していたのかを客観的に分析し、これからの作戦を立てなければならないだろう。何時までも浅田選手の思い出にふけっていては、日本独自のメンタリティの世界に閉じこもって、世界の進歩から取り残されることになる。

このことは日本は悪くないという戦後史観にも通じることがあるように思える。己の心情と世界の見方を冷静に対立させる客観的な打算があってもいいように思える。