安倍首相は象徴天皇を認めたくない

安倍首相は(アメリカに押し付けられたと主張する)憲法に規定される象徴天皇を認めたくないようだ。安倍首相が理想とするのは、戦前の天皇のように生涯を天皇として在位することのようだ。
もっとも自民党憲法改正案では天皇を元首とするとあるので当然のことか。
自民党改正案)
憲法改正草案 第1条 (天皇
天皇は、日本国の元首であり、
日本国及び日本国民統合の象徴であって、
その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

天皇退位 是非は未決着 衆参議長、各党派から意見聴取
2017/2/21付日本経済新聞 朝刊 
1. 本紙1月25日付朝刊のインタビュー記事で石川健治東大教授が、現行の皇室典範立案の際に「一代限りで退位を認める特例法の主張は、退位反対論の文脈で説かれた」と述べたように、「一代限り」には制度としての退位論を封印し、問題を先送りしようという底意がある。
2. その結論が念頭にある側からは、まず「恒久制度化は煩雑で時間がかかる」という根拠に乏しい言説が流された。政府の有識者会議の論点整理では「年齢を退位要件にするのは困難」「将来の天皇の要件を現時点で決められない」など、恒久制度を否定するためにひねり出したような理由が並べられた。
3. ある有識者会議関係者は「皇室典範を改正するのが筋だとは思う。しかし、当初から退位に否定的だった政権やそれを支持する保守層が承知しない。一代限りはぎりぎりの妥協」と苦渋の心境を語っている。
4. 退位問題の本質は超高齢化時代と象徴天皇のあり方の矛盾をどう解決するかにある。現在の天皇陛下の年齢、健康、負担といった属人的なものよりもさらに大きな枠組みで考えるべきことだ。
一代限りと恒久法の論議は制度としての退位の是非論であり、本質的な意味で退位を認めるか否かはまだ決着していないといえる。

編集委員 井上亮)