アベノミクスの黄昏、相次ぐ円安警戒論

政府要人、財界から円安警戒論が相次ぐ。
極め付けは安倍首相のこの発言だ(引用記事参照)。
首相は口先介入で相場に影響を与えたことに満足しているかもしれないが、金看板のアベノミクスを否定する迷言である。

為替が動けば、産業界や家計に影響する。経常収支がトントンの現状では、円安は外需型産業にはプラス、内需型産業と家計にはマイナスである。つまり国内で損得を付回しているのである。国富が増えるとか減るとかということではない。
今回悲鳴を上げているのは、内需型産業である。家計には配慮されているとはいえない。しっかり儲けている外需型産業は静かである。円高局面とは正反対である。

アベノミクスは異次元金融緩和によって過度な円高を是正することを一つの目的としてきた。異次元金融緩和を続ける限り円安の流れは変わらない。まして、アメリカで金融引き締めが視野に入った現在、円安の動きは加速される。

円安の動きにブレーキをかけるには、異次元金融緩和をストップするのがまっとうな手順である。政治家は有権者の声に敏感である。それが行き過ぎて本来の政策を歪めては元も子もなくなる。安倍首相は岐路にある。彼の判断を注視したい。

10/7ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HW0NI20141007

日銀決定会合当日に異例の国会出席となった黒田総裁が7日、「一般論として、円安は輸出やグローバル企業の収益・設備投資にプラス」などと発言。これをきっかけに、同日午前の東京市場では、ドル/円が109円台に浮上、日経平均.N225も主力輸出株に買い戻しが入りプラス圏に浮上した。

しかしながら、安倍首相が同じく7日午後の参院予算委員会で、円安のデメリットについて、ガソリン・燃料費の上昇で家計や中小規模の企業に負担になるとの見解を示すと、一気に円高・株安が進行。ドル/円は108円半ばに下落、日経平均は100円以上のマイナスとなった。

(参考)ドル円相場
10/6   109.42円
10/10  108.08円