ポートフォリオ・リバランスが機能しない理由
7/13日経・大機小機「外貨の足りないニッポン」和悦
黒田日銀総裁は、異次元の金融緩和の狙いの一つはポートフォリオ・リバランスであると指摘していた。
ところが国内機関投資家は、2月から6月までに外債を10兆円以上売り越した。国内株式も、年金運用分を除いても、売り越している。
和悦さんは、「黒田日銀総裁に謀反を企てているのだろうか」と読者を驚かす。続けて、「決してそんなことはない。実は、日本全体でみて外貨が不足していることが、外債投資にブレーキをかけている。国際収支が様変わりになってしまったのだ」と指摘する。
「外貨の不足は、日本全体として外貨を稼ぐ力が衰えていることを象徴している。一刻も早く経済回復を軌道に乗せ、外貨を稼ぐ力を取り戻さないといけない」と締めくくる。
確かに、円安・ドル高・ユーロ高という為替の面から観察すると和悦さんの主張が成り立ちそうである。しかし、証券売買からみると、強烈な円高が進むはずであった。この二つの食い違いを整合的に説明することはできない。今のところ、この食い違いを合理的に説明した解説は目にすることが出来ない。おそらく、外為統計情報と証券売買統計情報に大きな漏れがあるのではないか。
いずれにせよ、現在の株高・円安は外人投資家が支える構図になっていて、黒田総裁が意図したような国内機関投資家が国債からシフトした姿にはなっていない。このことは、現在の株高・円安に危ういものを感じさせる。