アベノミクスと財政再建

5/9日経「トヨタカイゼン1.3兆円(14年3月期連結純利益)」「金融危機後5年で体質強化」「700万台でも黒字」

注目すべきは単独損益の急回復である。

「執念のたまもの」。
8日の記者会見で豊田章男社長は前期の単独営業損益が、2,421億円の黒字(前の期は4,398億円の赤字)と5期ぶりに黒字化した背景をこう語った。

日産、本田、富士重工なども軒並み単独決算が黒字化している。このことは、これまでの繰越欠損金があるとはいえ、国内での納税が視野に入ってきたことを意味する。
すでにメガバンクは繰越欠損金を使い果たし納税が始まったようである。

自動車や銀行という主要産業が納税を再開することは税収に大きなインパクトを与えるだけでなく、今後の経済運営をどうするかという指針にもなる。

名目成長率を伸ばしていくことは、税収増と公的債務の対GDP比率を引き下げるという二つの経路で財政改善に資する。

政府はこのトレンドをうまく育てる必要があり安易な増税で景気回復の腰を折ってはならない。これこそ最大の成長戦略である。メディアも財政改善のために歳出削減、増税を念仏のように唱えるのではなく、どうすれば名目成長率を伸ばすかを提言するのが生産的なあり方である。

クルーグマン教授は5/5NYTのコラム「The Chutzpah Causus(鉄面皮の政治家集団)」で、日本の経済政策を次のように描いている。

Incidentally, foreign experience follows the same pattern. You often hear Japan described as a country that has pursued never-ending fiscal stimulus. In reality, it has engaged in stop-go policies, increasing spending when the economy is weak, then pulling back at the first sign of recovery (and thereby pushing itself back into recession).

民主的政府は一度財政を緩めたらそれを元に戻すことができないのではという問いに対して、日本の例を引用する。
日本は何時までも財政支出を行う国と思われているかもしれないが、実際には、stop-go policies をやっていて、経済が落ち込むと財政支出を行うが持ち直しの兆しが出てくるとすぐにそれを止めてしまう。そのため、再び景気後退に押し戻してしまう、と。