野田首相の置き土産、民主党を破壊する爆弾

野田首相が解散を決意したとき、真意は次のようにあるのでないかと推測していた。
A 大敗は覚悟の上で、彼自身の何らかの思惑で解散に向かった。
B これ以上の先延ばしは、さらに議席を減らすことになる。
C 甘い読みで、ここまで負けるとは予想していなかった。

これまでの経緯を振り返ると、Cが該当しそうである。
選挙戦中は比較第一党を目指すと言っていた事などから200議席ほどを取れると目論んでいたのではないだろうか。だから、11/14の党首討論議員定数削減を安倍総裁に迫ったり、マニフェストに無邪気にも定数削減を約束していた。


執拗に議員定数削減を追い求めた末、その主張は中政党になったわが身にブーメランのように戻ってきた。30人となった比例区選出議員はこれでまた大きな打撃を受ける。といって、いまさらこの約束を反故にするわけにはいくまい。出来るのは、うやむやにするか少しだけ手をつけてお茶をにごすぐらいが関の山だ。といっても、世論や自民党からはまたしてもマニフェスト違反の攻勢を受けるのでそれも難しいかもしれない。

自業自得とはいえ、ここまで先を読めないようでは、国家の指導者としての座に居座っていたら恐ろしいことになっていただろう。

参考資料として、民主党の定数削減の主張と今回の投票で推計した来年の参院選の投票予想を掲げる。この推計には「4増4減」のみが考慮されている。民主党は第2党維新の23議席にも届かない。

11/15/12 産経ニュース「党首討論」 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121115/plc12111500150000-n2.htm

首相「一票の格差を定数削減や選挙制度とセットにしようとしたのは自民党を含めて野党の皆さんだ。定数削減はやらなければいけない。消費税率を上げる前にこの国会で結論を出そうではないか。どうしても定数削減で賛同していただけないことがあった場合のことだが、ここで約束してほしい。定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる。それまでの間は議員歳費を削減する。自分たちの出している法案に賛同いただきたい。決断をいただくならば、今週末の16日に解散してもいいと思っている」

12/14/12 産経ニュース「公示日の首相第一声」 12/14/12
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121214/elc12121422540050-n1.htm

野田佳彦首相(民主党代表)は公示日の4日、第一声で「やり遂げなければならないことは定数削減。党首討論で安倍(晋三自民党総裁)さん、山口(那津男公明党代表)さんに約束してもらった」と強調、「民主党が力を失えばやってくれるかどうか分からない」と支持拡大を訴えた。

11/27/12 民主党マニフェスト「⑤ 政治改革」 
http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2012.pdf

先の臨時国会で実現した5議席削減に加え、次の通常国会衆議院議員定数を75議席削減します。参議院議員定数は40議席程度削減します。

12/18/12 読売新聞「衆院選得票で推計すると…参院選も自公が過半数
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/news/20121218-OYT1T00272.htm?from=popin

 16日に行われた衆院選の各党の得票をもとに、来年夏に行われる参院選の行方を読売新聞社が推計したところ、自民、公明両党が参院でも過半数を占め、与党が少数の「ねじれ国会」が解消するという結果が出た。
 議席の推計は、各党が衆院比例選で獲得した票を、11月に成立した改正公職選挙法に基づき「4増4減」した選挙区選と比例選に当てはめた。選挙区選では、公明党が改選定数2と1の選挙区で自民党に協力することを前提として、改選定数2以上の選挙区では、各党の得票をドント式で配分し、複数の立候補者が出た場合を想定した。
 推計結果によると、野党各党が個別に候補を擁立した場合、自民党が31ある「1人区」をすべて制するなど圧勝し、14議席の比例選を含めて計62議席を獲得する。公明党も7議席を得る計算だ。仮に来年4月の参院山口補欠選挙議席を獲得できなくても、自公両党は非改選議席と合わせ、参院(定数242)の過半数122を5議席上回り、ねじれ国会は解消する。野党では、23議席を得る日本維新の会が改選第2党となる。
(2012年12月18日09時09分 読売新聞)