谷垣総裁:引け際の美学

9/11/12 谷垣総裁:引け際の美学
谷垣自民党総裁が今回の総裁選に出馬しないことを昨日表明した。無念さは記者会見でも露ににじみ出ていた。

党長老の支持が得られなかったのが出馬断念の理由と伝えられる。出馬しても、第1回目の投票で4位になるという見通しがあり、現役総裁としてそこまでのみっともない結果を晒す事はないということのようである。

谷垣氏のこれまで3年間の業績は党内の支持を得られないほどにお粗末であったのか。解散総選挙にまでに追い込めなかったという批判はあるかもしれないが、そこまで望むのは過大な期待であろう。参院選補欠選挙、地方選挙など自民党はほとんど勝利してきた。特に参院選では与党を過半数割れに叩きのめす大戦果を挙げた。308議席を誇っていた衆院民主党議席を、あと10議席ほどで過半数割れになる瀬戸際に追い込んできた。敵失に助けられた面はあったかもしれないが、十分評価に値する業績であった。物足りないのは、世論調査で次の総理に期待する人物として、谷垣氏は低評価しか与えられなかった。これが、次の総選挙の顔として党内での支持拡大につながらなかったのか。

自民党総裁として一敗地に塗れることが明らかな戦に望むには、矜持が許さなかった。谷垣氏の引け際の美学を清々しいものと受け止めたい。