6/10日経「ユーロ圏、銀行支援の用意」

6/10日経「ユーロ圏、銀行支援の用意」「スペインに抜本処理迫る」

ユーロ圏の各国政府は9日の財務省会議でスペイン政府に対し、欧州連合(EU)の資金を使って銀行の資本増強に取り組むように促した。不動産バブルの崩壊で資産が痛んだ銀行の「抜本処理」へ決断を迫った格好だ。6月17日のギリシア議会選までにスペインでの信用不安を押さえ込まないと危機が深まりかねないとの判断がある。

日経の見立ては、ギリシアの不安を納めるのが目的でスペインの銀行を救済するというものだが、スペインの各銀行への資本注入はずばりスペインの金融システムを支えるのが目的である。副次的にギリシアの支えになるというものである。

ユーロ危機といわれても、これまではユーロ国という一国で危機が生じているかのように報じられていた。だから問題の指摘もあいまいで、わが国メディアの提案する解決策もピントがずれていた。

スペインの問題は公的債務の水準は低く、財政赤字も問題なる様なものではない。スペインの問題はかってない不動産バブルが発生し、その後遺症として銀行に不良債権が累積されたことにある。つまり、日本型金融不安である。だから、銀行に資本注入するのは正しい方向である。ただ、それはスペイン経済を下支えるものであって、成長のための十分条件にはならないのはわが国の経験から明らかである。失われた10年、20年を覚悟すべきであろう。

資本注入のために、EFSF(欧州金融安定基金)やESM(欧州安定メカニズム)からスペインの銀行に直接資本注入する案が浮上しているという。この案が採用されれば、欧州共同債の発行も現実味を帯びてこよう。これまでの欧州共同債発行の提案では、ドイツに一方的に負担を押し付けるもので実現性は乏しかった。ユーロ危機は新たな、解決に向かう方向へ一歩を踏み出したというべきであろう。週明けのマーケットの反応が見ものである。安住財相はほっとするかな。