6/8野田首相、大飯原発再稼動「国民の生活を守るために再稼動すべきだというのが私の判断だ」

野田首相は8日夕、記者会見し、関電大飯原発3、4号機について「国民の生活を守るために再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。「原発を止めてしまっては日本の社会は立ち行かない」と指摘、夏季限定の再稼働は「国民生活は守れない」と否定した。安全監視体制の強化に取り組んできたとして「福島の事故のような地震津波が起きても事故は防止できる」と自信を示した。

結局「必要だからやる」という考えで進めることになり、リスク評価とその制御という考えは示されなかった。一方では、閣内や与党内には「危険だからやらない」という考えもくすぶっている様だ。100%の安全はあり得ないという認識がはじめにあって、それでもメリットを享受するためにどれほどまでリスクを許容し、どのようにリスクを制御できるのかということが首相の会見からにじみ出てくることを期待したが、これまでの「安全神話」と代わり映えがしない。

6/9日経「大飯原発3、4号機再稼動までの流れ」(「流れ」)を見ると、「国民生活を守る」という表明とは裏腹に実は首相はサボタージュしていたのではないかという疑いが生じる。3号機や4号機が稼動するには、3週間ほど機器や配管を検査する必要があると「流れ」には示されている。その検査は首相と三閣僚が最終決定した(6/15か16)後に着手されるようだが、検査自体は前倒しでやっておいても支障はなかったはずだ。やはり、推進派と反対派の両方に気を使い、なすべきことが後手に回っている感がぬぐえない。

首相は個別の原発の問題にこだわり、今後も個々の再稼動の都度このような意見表明をしていくのであろうか。6/9日経では「首相と経済産業相ら3閣僚の会合で原発の再稼動を判断する現在の枠組みは、新組織の発足後に全面的に見直される」という。この仕組みは、菅直人前首相が思いつきのように決めたもので、政治的思惑のある政治家に委ねるのは適切ではない。