電力システム改革タスクフォース「論点整理」

電力システム改革タスクフォース「論点整理」(以下、「論点整理」)について

Ⅲ 我が国の今後の制度設計に当たっての視座と論点
1 我が国が目指すべき電力システム改革の理念
(1) 需給逼迫時に需要抑制や供給促進のインセンティブが働く電力市場の形成
(2) 企業や消費者の自由な選択、創意工夫を最大限活用する電力市場の形成
(3) 需要サイドによる需給管理が可能な次世代スマート社会の構築
(4) このような電力市場を支える公正で透明な競争環境の整備

筆頭に来るのが「(1)需給逼迫時に需要抑制や供給促進のインセンティブが働く電力市場の形成」である。論点整理では、電気料金の低減は正面きっての課題として取り上げられていない((2)−(4)を通して間接的に達成できると観ているのだろうか)。むしろ、「発送電分離や自由化を行った欧米で、必ずしも電気料金は低減しておらず、むしろ上昇しているケースも多い」として、この課題からは腰が引けているかのようである。

1/7日経「電力 事業別に免許再編」「送配電 中立性確保が課題」によれば、「事業別の免許再編と並行して、(発送電分離の形態案について)経産省内で有力な選択肢として浮上するのが米国流の機能分離だ。(中略)東日本と西日本に一つずつ独立性の高い第三者機関を作り、電力会社が送配電網の運用を委託する案が出ている。米北東部で州をまたがって送電線を運用する地域送電機関(RTO)がモデルだ」とあり、この第三者機関が新たに設立されると、そのコストが上乗せされることになり電力料金はさらに高くなる。

これでは電力システム改革とはいえないだろう。10電力会社の合計売上高は、16兆円。これを電力会社の利益を削ることなく1割削減して、1.6兆円を家計や産業界に戻して、購買力を高めたりコスト削減の原資にするという発想はもてないのだろうか。

なお、形態案の中で所有分離について、日経は経産省幹部の発言を引用している。「民間電力で完全に会社を分ける所有分離を実施すれば、憲法が保障する財産権の侵害に当たる恐れがある」と。この幹部さんには、会社法をもう一度勉強してくださいと申し上げる。