意図せざる、あるいは意図した円高

これまでは政府は、米の債務枠上限問題が合意されないことがドル安をもたらしてきたと主張してきた。

ところが、8月1日のNY市場では合意があったにもかかわらず円・ドルは76.29(3/17 76.25)、円・ユーロは108円台後半(106円台)と高値に迫った。特に円・ユーロは関係なかったはずだ。つまり、円高は国内問題であることがハッキリした。

政府の無為無策、否、誤った政策による意図せざる(?)あるいは意図した円高誘導を糊塗するためか、本日(8/2)の日経一面トップは「円急騰、緊急対応へ」、「政府介入を準備」などを報じている。事前予告で介入をするとは、信じられますか? これは、介入をやるのではなく市場へのブラフにすぎない。

政府のお偉方の発言から察するに、わが政府の為替政策とは「注視」と「介入」しかないようだ。これは、電力不足に対処するのに「節電」で乗り切ろうとするのとおなじ発想。

今回の円高は、このところ矢継ぎ早に打ち出されてきた増税案が原因である。復興税10兆円、B型肝炎対策7千億円、さらに酒・タバコ税等これらを5年程度で集めたい、としている。1年で2兆円強の需要減少要因である。特に震災復興事業が後ずれしたら税の吸い上げが先行して影響は甚大である。当然、内需にはデフレ圧力が加わり、円高に向かうのは理屈通りである。市場はそのことを読んでいる。

経済が壊れても増税を断行して歴史に名を残したい宰相と増税カルトのグルである経財相は、経済の理屈を知ってか知らずしてか、「国破れて山河あり」へ導いていく。