菅氏の脱原発 Yes, he can.

昨日の記者会見で菅氏は原発からの段階的撤退を表明した。私が注目するのは、撤退の理由として、原発が人間の制御を超えた悪魔の技術であるという指摘である(引用:リスクの大きさを考え、これまでの安全確保という考え方だけではもはや律することが出来ぬ技術だと痛感した)。

この指摘は、どのような経緯から生まれたものかは分からないが、すべての情報・頭脳を総合した上での新たな知見なのであろう。私たちは、原子力は制御可能な幸福の技術であるという観念からは決別しなければならないようだ。

菅氏のもたらした知見からは、原発から手を引くのは当然の帰結である。問題は、それを行うのに時間を要することある。どれだけの時間がかかるかについては、「今具体的なことをいうのは早すぎる」と明らかにしていない。

政策的対応に関して、電力不足について「節電の協力などを得られれば十分にこの夏、この冬についての電力供給は可能であると耳に入っている」と菅流レトリックで説明するに止まる。

大義名分を国民の「理解」と「安心」に置いているのであるから、福島の経験に基づき原子炉から20キロ圏内の住民を直ちに避難させるのが国民の生命と安心に責任を負う政治家がまず取り組むことである。今後の政策提言に注目したい。

今回の発表により、菅氏の今後についても道筋が見えてきた。それは、原子力は人間の制御できない技術であるということを人類共通の資産として広めることだ。
1. わが国はベトナムへ原子炉の輸出を決めたが、直ちに菅氏はそれをキャンセルすること。制御できない技術でベトナムの人々を苦しめてはならない。
2. 世界を行脚して、反原発の伝道師として、推進派のサルコジオバマ、キャメロン、メドベージェフ、コキントウらを説得しなければならない。どうか、下をうつむいて紙を読み上げることは無いように!

私たちには、当然新たな知見の内容について知る権利がある。