経営は十年にして成らず、武田薬品の7兆円シャイアー買収

シャイアー買収がいよいよ決まりそうである。巨額の買収に対する懸念は指摘されているが、メジャー製薬会社への飛躍を期待したい。

期待できるとするのは、今回のディールが10年ほどの準備を経て用意周到に進められたように見えるからだ。目先の案件に飛びついたのとは違う。

製薬会社の賞味期限は手持ちの医薬品の特許期間に制約される。武田は10年以上前から新薬の枯渇を見越して手を打ってきた。当初は、日本人経営者による海外製薬会社の買収だった。ところが、これらの買収は成果を得られなかった。日本人経営者による海外製薬会社の統合の難しさを痛感したのであろう。武田はこの反省から4年前から外人経営者を招いて、来るべき時に備えた。社内取締役4名中3名が外人である。この3人組がチャンスを待って、ついに仕留めたのが今回のシャイアー買収である。

ホップ、ステップ、ジャンプの手順を踏んだ今回の買収は、拙速な飛びつき買いとは違う満を持しての出動である。これが外野席から見た今回の買収劇である。過大評価だろうか。株式交換で武田が外資企業になるのは止むを得ない。