働き方改革 勤労者だけが変革を求められる

日経はシリーズで「働く力、再興」を連載しているが、勤労者に頭を切り替え新しい働き方へ向き合えという。他方で、日本の生産性は低いと主張する。これも勤労者が働き方を改革すると改善すると唱える。

だが低生産性の原因を勤労者に求められても、勤労者は手の打ちようが無い。この問題の立て方には、経営の無策が隠されている。例えば、生産性を引き上げる定石は資本装備率を上げることだ。定石を無視して勤労者に効率を上げろといっても、竹やりでB29に対抗するようなものだ。

中小企業庁
3 資本装備率、資本生産性について
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/html/b1_3_2_3.html
情報通信業は最も資本集約度が低い一方で、資本生産性が最も高い。また、電気・ガス・熱供給・水道業は最も資本装備率が高い一方、資本生産性は最も低くなっている。労働生産性の平均で見ると情報通信業では861万円/人、電気・ガス・熱供給・水道業では1,299万円/人と両業種共に高い水準となっており、労働生産性の高い企業においても、その高め方には業種ごとの特徴が現れている。

最近ではヤマト運輸の過剰業務が問題となっている。労組は経営に対して宅配便荷受の総量規制を申し入れたという。
2/27週間東洋経済は「(ヤマトは)1−3月期に宅配事業は72億円の赤字に」と伝える。仕事が増えているのに赤字になるのは経営の責任だ。勤労者は悪くない。安値で受注価格を出して、低賃金で従業員を酷使する。40年前に小倉昌男が新しいビジネス・モデルを打ち出して、規制と戦いながら産業として確立した宅配業がいまや陳腐化して低賃金・低生産性の温床となっている。
佐川には宅配ビジネスの限界が見えているようだね。TV広告ではグローバル・サプライ・チェーンの担い手への転換が進められているように見える。

勤労者に働き方改革を求めたり、低生産性の責任を勤労者に求めるのは止めて、まず経営不全が働き方や生産性にどれだけ影響しているかを探るのがフェアーに思われる。

3/1日経の広告。
「ALL JAPAN 労働生産性改革プロジェクト〜アウトプットを拡大する働き方改革の視点」
常に下位に甘んじてきた日本の労働生産性を本格的に改善するための最新英知を結集します。
経産大臣挨拶 世耕弘成
主催 日本経済新聞