日経のトランプ批判は的を外している

トランプ次期大統領の政策が少しずつ明らかになってきた。一言でいえばラストベルトの復活という公約実現に向けて出来ることは何でもやってみようという試行錯誤のアプローチだ。欧米人の中にはアイデアをとにかくやってみてうまく行かなければ後で直せばよいと考えるタイプがいる。ラストベルトを復活させるための策がしばしば保護主義的、企業介入になるので日経が噛み付く。
試行錯誤のアプローチは立ち上がりには滅茶苦茶な印象を与えることがあるが、時に上手い出会いがあれば思いもつかなかったような解決策が生み出されることがある。

日経の批判は、表出する保護主義や企業への介入に向けられ、トランプ次期大統領がラストベルトを復活しようとしている目的を見逃しているので、話がかみ合わない。

日経の批判は1%(株主、経営者)の立場からの批判で、残された99%を支援する提言にはなっていない。振り返れば資本主義が共産主義に追い込まれた時、皆保険、年金制度、最低賃金、労働時間制限など中堅層を支える制度を導入して、最終的には共産主義に勝利した。今必要とされるのはグローバル資本主義が中堅層にどのような提言を示せるかである。

1/11日経経済教室「TPP漂流が問う通商政策、上」岩田一政は「日本は自由貿易の砦に」を主張し、自由貿易を擁護している。格差を生むのは機械による労働の代替で、その解決策としてわずか数行「ここで目指すべきは教育訓練や流動性の確保により、企業と従業員の質向上を推し進めることだ」と述べるに留まっている。