文民統制は機能するのか

政府は防衛省設置法改正案を閣議決定した。防衛大臣が陸海空の各自衛隊に指示するとき、背広組の官房長や局長を補佐するのを改めて、制服組を対等に位置づけ、背広組は政策、制服組は軍事面から直接、防衛大臣を補佐することに改める。

背広組と制服組が共に特定の価値判断に影響されず中立的な立場で大臣を補佐できるのであれば文民統制は機能するだろう。しかし、首相、防衛大臣自衛隊の海外派兵に前のめりになっているときに、それに迎合する制服組が出てきたら、文民統制は形だけは残るが事実上存在しないことになる。

背広組はこれまでにもブレーキ役の役割を果たしてきたのであろうが、首相はそのブレーキを無効化しようとしている。

安倍首相は6日の衆院予算委で「シビリアンコントロールは、国民から選ばれた総理大臣が最高指揮官であるということにおいて完結している」と答弁した。そこまで全権委任されているとは思われないが、首相発言に正当性を与えるには、国会での徹底した議論が必要であろう。

積極的平和主義を唱える首相のもとで、文民統制の実態は危ういものとなっている。