安倍首相に対する誤解

安倍首相は衆院予算委員会で「私は歴史修正主義者では全くない。『戦後レジームからの脱却』という言葉が海外である種の誤解を生んでいる」と表明した。

安倍首相が「誤解」されていると述べるのは、少なくともこれで三回目である。
(1)13年末に靖国神社に参拝
米政府は在日米大使館を通じ、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに失望している」とコメント。その上で、「首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する」と、近隣諸国との関係改善を促した。

共同通信によると、安倍首相はこの日午後、自民党のインターネット番組に出演。「米国で誤解が増幅されている。この機にしっかり説明し、誤解を解いていく」と述べたという。

(2)14年1月ダボス会議
23日、ダボス会議世界経済フォーラム)の中で、安倍首相が現在の日中関係を、第一次大戦前の英独関係に例えた講話を行ったことが海外での報道において大きく問題視されていることがわかった。後に、菅官房長官は記者会見を行い、経済的に深く結び付く日中両国の衝突があってはならないとの安倍首相の真意が誤解された、と発言を釈明した。

(3)今回の衆院予算委員会歴史修正主義者ではないという発言

いつも同じような領域で、同じような言動が誤解を生む。誤解する欧米のほうが正しいのか、それとも安倍首相の情報発信能力がお粗末なのか。

安倍首相の説明が正しいとすれば、首相は自らの表現力が劣っていることを率直に認めたことになる。そうであれば、首相としての資質が問われることになるが、さてどうなるのか。

この夏に戦後70年の首相談話が発表されるという。近隣諸国や欧米から非難が集まった時、またしても「誤解」という言葉で切り抜けるのであろうか。見ものである。