貿易収支 輸出回復で赤字は縮小するのか

輸出回復をエンジンにするのは疑問だね。4月以降は輸入縮小で貿易収支は改善するだろう。

3/10日経夕刊「経常赤字最大1.5兆円」「1月、初の4ヶ月連続」
同じく「GDP下方修正0.7%増」「10〜12月実質年率、設備投資伸び悩み」

リーマンショック、大震災、超円高を経て日本経済の構造は変わってしまったのではないか。3/11日経は「輸出、春先に改善の兆し」と報じている。理由は、「Jカーブ効果が表われ始めた可能性がある」からだ。

だが「Jカーブ効果」を持ち出すのは、旧態依然の考え方のようだ。
3/2日経「けいざい解読」「アベノミクスの通信簿」では、「(GDPの)伸びた分の大半は個人消費公共投資だけで説明できる」と解説しているように、13年のGDP内需主導で延びた。一方、2/28大機小機「円安の経済効果、隅田川」は「契約通貨ベースの輸出価格は2%ほどしか下がっておらず、円安分はもっぱら円建て価格の上昇(12%)となって表われた。販売価格を下げなかったことで輸出数量は増えなかったものの、円建ての輸出額が増えたため、製造業の収益は大幅に改善した」。

これらから言えるのは、国内の生産余力がほとんどなくなり、内需が増えると国内生産では賄えず輸入で需要増加を埋める。輸出採算が上向いても、増産で収益拡大を図ることはできないので外貨建て価格は据え置いて円安メリットだけを輸出業者は享受する。数量が伸びないので設備投資もぱっとしない。

これからの貿易収支は、輸入が内需に感応的になっているので、内需の動きを注視すべきだろう。有るか無いか分からない外需を頼りにするのははかない。

3月いっぱいは駆け込みの輸入が赤字圧力になるかもしれないが、4月以降は消費低迷から輸入が大きく下がり、貿易収支も相当の改善を見せるのではないだろうか。