10/12日経経済教室・中銀の緩和競争㊥「成長期待の底上げは困難」

10/12日経経済教室・中銀の緩和競争「成長期待の底上げは困難」「平時、資産購入控えよ」「実体経済刺激、財政出動で」専修大学教授・田中隆之氏
ポイント:
FRBのQE3の目的は住宅市場テコ入れ
・ 長期をにらみ成長を支援する手段の強化を
・ 中銀の資産購入は実体経済の刺激に効かず

結論は中銀の資産購入は実体経済の刺激に効かないから、平時には中央銀行は資産購入をするなということである。中央銀行はある程度財政を肩代わりする余地が生まれるが、財政赤字がどこまで許容されるのかと同様に、その余地がどれほどあるのかは理論的に確定できず、市場の思惑に委ねられているので、この余地を不必要に狭めることは極力回避すべきであるからだ。

中央銀行のバランスシート規模の比較表(対GDP比)が掲載されている。

中央銀行 時期 総資産(%) うち国債(%)* うち民間金融資産(%)
FRB 量的緩和 6.3 - 0.5
- 現在 18.0 8.2 7.4
日銀 量的緩和 16.8 11.7 -
- 現在 31.7 21.7 1.5
BOE 量的緩和 5.7 0.9 1.6
- 現在 26.0 24.3 1.6

(注)「量的緩和前」は2007年1月末、日銀のみ00年9月末。「現在」は12年9月末。*には通常のオペによる国債残高を含まない。
(出所)各国中央銀行データ、国民経済計算

平時からどんどん日銀のバランスシートを膨らませていては、来るべき有事のときに日銀の余力が乏しくなり危機を押さえ込むことが出来なくなる。そのときに、政治家に想定外だったと逃げられてはたまったものではない。最近はそんなことが多いので....