日経「東電の経営権取得検討」「原賠機構 普通株で資本注入」

1/7(土)日経「東電の経営権取得検討」「原賠機構 普通株で資本注入」

どうやら政府が東電の経営権を取得することは本気のようだ。いうことを聞かない東電へのブラフだと思っていたが、「東電の事業改革を迅速に進めるため」なのである。一方、「財務省は民間企業の経営に国が深く関与することには弊害が多いと慎重な姿勢を示している」と必ずしも経営権取得で政府は一致しているのではないことを伝えている。

先の報道では、東電は廃炉費用(1.15兆円と見積もられる)を計上すると債務超過に転じるので1兆円を注入することにより債務超過を回避するためだとされていた。

経営権を握るには議決権の2/3以上を握る必要がある。先週末の株価データ(末尾に掲載)を見ると、2/3の議決権を得るには、3,214百万株を新株発行し先週末株価で5,560億円を払い込めばよいことになる。逆に1兆円を注入するには、5,780百万株の新株発行(国の持株比率は78.2%)が必要となる。今後の増資計画を見れば本音のところが明らかになろう。

どのような理由がつくにせよ、国有化はあまりにも問題が多い。
1. 民間企業の国有化で社会主義的経済政策である。これが駄目なのは自明である。
2. 注入される国費の出口戦略(回収方法)が見通せない。財政再建に反する。国民負担となる。
3. 本来、債務超過で株価ゼロになる既存株主に結果として贈与することになる。

要するに、経済全体を非効率化し、かつ経済のダイナミックスが失われるモラル・ハザードを国が率先して実践するということである。まさか、政府は社会主義的経済政策を実験したいというのではないことを願う。

1/6(金)の株価データは次のとおり。

時価総額 278,014百万円
発行済株式数 1,607,017,531株
終値 173円