AI技術の進化

AIが普及すると人の仕事の4-5割が取って代わられるという。だが、そんなことを心配してもしょうがない。なぜなら、AIがどんな仕事をするか、はっきりとイメージ出来ている人はいないから。いまから心配している人は、天が空から落ちてくることを心配した杞憂国の人のようだ。
真剣にAIがやれる仕事を考えるのが先決である。その後に人間がやることを考えればよい。馬車は車が出現して用済みになったけれど、馬に遠慮して車の進歩を止めるということは起きなかった。

8/7日経経済教室、松尾豊東大特任准教授は「AIは何をもたらすか」でディープ・ラーニング(DL)はコンピューターに目ができたようなもので、「カンブリア爆発」に例えている。
松尾氏は、「目の誕生、産業構造を一変」、「ものづくりの資産 生かせ」、「機械が活躍する技術革新は日本企業向き」と指摘する。他方、DLに習熟した人でも日本ではほとんど世界標準クラスで処遇されていないと批判する。その理由として二つ掲げる。(1)経営者が技術の本質を理解していないので、いくら投資するかどのように利益を出すかという経営判断が出来ていない。(2)社内の人事制度や給与制度が硬直的で例外を認めていない。日本の年功序列は根強い。不思議なのは、設備投資ならいくらでも払えるのに、人には高い給与が払えないと嘆く。
松尾氏はDLとものづくりの融合は、日本のチャンスであり、挑戦であると今後の展開に期待するとともに焦りを抱いている。

松尾氏によれば、世界標準の給与とは年USD300,000である。チームリーダーは数百万ドルである。日本ではこの半分でも理系の優秀な人材はこぞってこの技術を習得するであろうと松尾氏は予測する。
この技術についていけるのは20代後半から30代の若手の研究者や技術者であり、数学の知識とプログラミング能力があればよい。マーケティングのセンスや顧客ニーズの発掘はほとんど必要されない。コミュニケーションが不得手で組織に埋もれているオタク的な人でも十分に力を発揮できるのである。

優秀な若手研究者や技術者を本体で抱えなくとも別組織で有期雇用という形態で、プロジェクトチームを立ち上げて成果を出す企業が出てこないものか。