岸田成長理論はうまくいくのか

10/16日経「日本の年収 30年横ばい」「米は1.5倍に 新政権、分配へまず成長を」。

日経は、経済政策での重要な論点は成長と格差是正のどちらに軸足を置くかだと主張する。格差よりも、まずは低成長を抜け出し、分配のためのパイを拡大する方が優先度が高い、とも言う。

 

時々の内閣は成長戦略を掲げてきたが、まるで成果はなかった。日経のように成長を優先すると、これまでの30年間を繰り返す可能性が高い。経済政策の根本がおかしいと発想を変えなければならない。

消費税が1989年に導入されて以来約30年が過ぎ、振り返ると日本の消費者は購買力を奪われ続けてきた。バブル崩壊以降、雇用は脅かされ非正規が大きなシェアを占めるようになった。成果給とか働き改革とかで、給与が脅かされ続けてきた。

個々の企業にとって人件費の削減は収益向上のポイントである。

だがそれが行き過ぎると、合成の誤謬で、消費全体がしぼんで経済の活力が失われる。

 

アベノミクスではトリクル・ダウンは起きなかった。成長論者は成長してパイが大きくなれば、それが労働者に行きわたるという。だがトリクル・ダウンは起きなかった。なぜ、起きなかったことが今度起きると期待できるのか。