収穫逓増モデルで経済を読み解く

 

現実の経済は、収穫逓増があるから成長がある。収穫逓減の経済では、早晩限界に突き当たり、成長は望めない。

 

10/28日経経済教室「市場像の再構築 上、収穫逓増モデルへ対応急げ」グレン・ワイルMS主席研究員は、この問いに答える。

民主国家も資本主義経済も危機のなかでうまく機能しないことがはっきりした、と問題提起する。

19世紀後半の「限界革命」以来、資本主義の経済運営は規模に対する「収穫逓減」の法則が当てはまる世界を想定してきた。

だが実際にはほとんどの経済成長は収穫逓増プロセスから生まれる。

 

収穫逓減は資本主義イデオロギーの要石なのだ。

利益追求動機と効率性は両立しない。

 

電気、下水道、鉄道網、高速道路など、資本主義の発展を支えてきたインフラはすべて収穫逓増の原理に基づいている。

世界最大級のテクノロジー企業は巨大な収穫逓増プロセスの所有者だ。

 

資本主義のインセンティブと繁栄の真の源泉のずれを考えると、現実の制度が最重要の問題の解決失敗してきたのは当然だ。

 

筆者は、収穫逓増のプロセスをうまく運用できるのは資本主義ではなく民主主義であると指摘する。成功例としてエストニアや台湾を掲げる。

この部分は、やや楽観的かと思われる。